黒田 萌さん

Moe Kuroda

DTPオペレーター

印刷会社勤務のかたわら版画を楽しむ、宮古美術協会会員

PROFILE

1996年生まれ、宮古市出身。2018年、東北生活文化大学家政学部生活美術学科を卒業後、Uターンして宮古市内の印刷会社へ就職。同年、宮古美術協会にも加入。大学で専攻していた「板紙凹版(いたがみおうはん)」という版画技法を用いた制作活動を続けている。父、母、祖母、2匹の猫と暮らす。

刷り上がったときの感動が版画の魅力

仕事内容と毎日のルーティーンについて教えてください。

DTPオペレーターという印刷物のデータを作成する仕事をしています。会社が8時半からなので、7時頃には起き、準備をして出勤。そこから17時半まで仕事をし、残業があれば残って、少ししてから家に帰ります。帰宅後は、ご飯を食べたり猫とたわむれたりして、日付が変わるくらいに寝ています。

仕事のやりがいを教えてください。

印刷物に入れたい情報を、見やすく紙面にレイアウトできた時ですかね。「やった!」って嬉しくなります。ほかには、前の年も担当した仕事を「今年もお願いします。」と、依頼してもらえたり、お客様からお礼の言葉をいただいたりするとやりがいを感じますね。

印象に残っていることはなんですか?

基本的にひとつの仕事は一人で担当することが多いんですが、以前関わった大きな仕事は、部署の人たちと分担しながら作業したんです。すごく大変な時間を乗り越えて、みんなで納品までこぎつけたときのことをよく覚えています。くす玉を用意して、「終わりました!おめでとう!」と仕事の完了を喜び合って、すごく達成感がありました。

逆に、仕事をしている中で大変だと思ったことはありますか。

印刷物の作成ソフトの使い方を覚えることですかね。今も勉強中です。いろいろな操作があるので、効率よく仕事を進めるために、これからも勉強していきたいです。

今後の展望や夢を教えてください。

やっぱりソフトの使い方ですね。もっと勉強してよりいいものを作っていきたいです。
仕事でのミスもなくせるよう、改めて気を引き締めていきたいです。

では、次に、趣味や余暇の過ごし方について教えてください。仕事以外の時間は何をしていますか。

「板紙凹版(いたがみおうはん)」という技法を用いた制作活動をしています。と言っても、いつもやっているわけではありませんが。たとえば毎年開催される岩手芸術祭やいつも参加しているグループ展などがあるので、そういう展示の予定があるときに出展するための作品を制作しています。

版画を始めたきっかけはなんですか。

大学で版画を専攻したことがきっかけです。それまで版画は全然やってきませんでした。大学でゼミに入るとき、版画ゼミが一番活動的だったので、興味を持ったんです。

版画の魅力を教えてください。

刷るまで本当の完成図が見えないところでしょうか。版画は、版を作る工程と刷る工程がありますが、版を作っている段階では作品の完成イメージが100%頭にあるわけじゃないんです。刷る工程を経て初めて完成図が現れるのが楽しいところでもありますし、少し怖いところでもあります。そうしたドキドキを感じられるのも版画の魅力だと思っています。版画は絵画と違い、途中の軌道修正が難しい場合が多いです。だからこそ、うまく刷り上がった時が最高に楽しいです。あと、下絵を描いて、版を作って、印刷するという工程がそれぞれ分かれているので、工程ごとに作業を進められて自分の性格にあっている気がします。

逆に版画の大変なところはなんですか。

これも刷ってみないと分からないところですかね。実際に刷ってみた時、「思っていたのと違う」ってこともあって、作品にならないものもあるんです。版画は、複製できるという特徴がありますが、同じような刷り加減で何枚も刷っていくというのも大変なところです。

作品は、どのくらいの時間をかけて作っているんですか?

作品によりますし、その時の気分や体調にもよりますが、2週間から1ヶ月くらいでしょうか。小さいものだと3日くらいで仕上げることもあります。仕事で
1日中パソコンに向かっていますから、目も疲れていますし、仕事が終わってからの作業はやはり時間が限られてしまいますね。作業時間は、10分のときもあれば1時間のときもある、という感じで、そのペースで2週間から1ヶ月という期間をかけて制作しています。

宮古でしかできない版画を続ける良さってありますか?

一昨年、宮古の色「エターナルグリーン」をテーマにした展示会があって、宮古の海の色をイメージして作ったことがあるのですが、宮古の自然をテーマに作品を作ってみて、実際に住んでいるからこそ表現できるものがあるのかなと改めて思いました。美術協会でも、長く海の絵を描いていらっしゃる方もいて、宮古の風景と美術って強い結び付きがあるなと感じています。現在市内に専門の画材屋さんはないのですが、私がやっている版画は、ホームセンターでそろえられる道具もありますし、画材が揃いすぎていないことも工夫や新しい楽しさにつながるかもしれないと前向きに捉えています。

版画を、今後はどんなふうにしていきたいですか。

市内に展示できるところを増やしたいです。ほかには、印刷会社に勤めているので、自分の作品をポストカードとかにして、機会があったらそれを売ったり、配ったりしていきたいです。

宮古での暮らしの満足ポイント・不満ポイントを教えてください。

満足ポイントは、自然が近いところですかね。以前、仕事でしょっちゅう浄土ヶ浜や早池峰を取り扱うのに、「早池峰山に実際に登ったことがないよね」って話になって、同じ部署の人たちと早池峰登山をしたんです。宮古では登山やSUPなど自然を体感できるアクティビティが豊富なので、内陸の市街地よりも気軽にアウトドアが楽しめていいと思います。

黒田さんにとって、ふるさととは?

ひとことで言うと、「帰ってきたい場所」でしょうか。思い出がある場所ですかね。

黒田さんの希望は?

絵などがいろいろなところで見られる町になったらいいな、ということです。

Uターンを考えているひとたちにメッセージを。

一度外に出るのはとても良いことだと思います。私自身、一度外に出てみたことで、自分にできることが増えたので。そして、いつでも気軽にここに戻ってきてくれたら嬉しいです。

2024年12月取材

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