
伊藤 洋さん
Hiroshi Ito
カフェ経営
山暮らしとトライアスロン、100歳まで現役をめざして
PROFILE
1962年宮古市生まれ。宮古工業高等学校卒業。専門学校を半年で退学後、東京のPA会社でアルバイト。1985年に渡米し1990年に帰国。1992年、宮古で山暮らしをすべく土地を購入。1999年カントリーズcafeを開業。店を経営しつつ、山暮らしを楽しんでいる。2008年からロングトライアスロンに挑戦し、さまざまな大会で完走している。一人暮らし。
自然を愛する喫茶店の店主は、世界を飛び回るトライアスリート。
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仕事内容と日課を教えてください。
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カントリーズcafeという喫茶店を経営しています。2階が喫茶店で、3階のスタジオをライブイベントやバンドの練習に貸し出しています。弾き語りライブなどは、2階でやったりもしますね。日課は、週6日、必ず朝に2時間から3時間、トライアスロンの練習をすることです。
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喫茶店をはじめたきっかけはなんですか?
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私は宮古の某所で山暮らしをしているんですけど、そこには、電気もガスも水道もないんですよ。でも、子どもの頃から集めていたレコードや良いステレオを沢山持っているので、1か所はどこかに電気が通る拠点がほしいと思っていて。探したらこの場所が見つかったんです。もともと喫茶店をやっていた場所だと言うので、じゃあ、喫茶店をやろうかと。何となく始めて25年ですよ。

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そんなスタートだったんですね。では、仕事のやりがいを感じるのはどんな時ですか?
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やりがい、ってそんなにないんだけどね、食うためにやっているだけだから(笑)。まあ、来てくれたお客さんと、ゆっくり世間話をする時ですかね。
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仕事で印象に残っていることはなんですか?
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アメリカでジャズの殿堂入りしている、ジャズピアニストの穐吉敏子(あきよしとしこ)さんのライブをしたことです。2日間で約200人がライブを見に来てくれてね、盛り上がったことを覚えています。

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仕事をしていて、大変だったことはなんですか?
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大変だと思ったことはないですね。ですが、今日のライブではお客さんがあまり入らなかったと思うと、せっかく演奏してくれたミュージシャンに申し訳なくて。そういうときは心が痛みます。
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仕事以外の時間何をしていますか?
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トライアスロンの練習です。サイクリングの練習や、姉ヶ崎のプールに行って泳ぐ練習を。月曜日は、宮古の某所にある山小屋で自然を満喫しています。

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トライアスロンをはじめたきっかけはなんですか?
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高校生の時に陸上部の長距離選手だったのと、サイクリングが趣味だったので始めました。高校生の時に自転車で日本を縦断したんですが、その当時の日本最年少記録だったんですよ。自転車は、漕いでいればどこにでも行けるから楽しいですよね。85年に渡米したんですけど、ハワイとアラスカを除く48州を3年かけて走破しました。春から秋まで、毎日100~150kmずっと走りっぱなし。毎日大変でしたが、いい思い出です。
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トライアスロンのどんなところが魅力ですか?
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やっているときは大変なんですよ。魅力といえば、練習の段階で体を少しずつ仕上げていって、レースの2週間前に体調が万全に整った時の満足感でしょうか。本番よりもそっちのほうが目標に近いかもしれません。練習をちゃんとしないと、完走ができませんからね。練習さえちゃんとできれば完走できるというレベルは分かっていますので。あとは、大会に参加した後に、その国や近隣の国々を自転車で回るのは楽しみのひとつですね。
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大変そう、というのは想像がつくのですが、どんなところが大変ですか?
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私が参加しているトライアスロンはロングと呼ばれるもので、オリンピックディスタンスの4倍の距離があります。レースは12~3時間かかりますから、そりゃあヘロヘロになりますよ。ペース配分や、補給食のこととか、コースのこととか、天気とか、あらゆることを考えなくてはいけませんしね。満足いく納得のレースっていうのは、ほとんどないですね。

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今まで海外に行ったところで良かったところはどこですか?
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全部好きですけど、記憶に新しいところで言うと、去年、オーストリアのレース後に寄った、旧ユーゴスラビアは良かったです。5カ国、約1000kmを自転車で走ったんですよ。
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いろいろな国を見てきた伊藤さんが思う、世界に負けない宮古の良いところは?
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私は宮古の自然好きですよ。森も川も海もあって、過ごしやすいですしね。私は、店から車で約1時間のところに山小屋を持っていて、そこで過ごす時間は本当にリラックスできます。
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山暮らしの良さはなんですか?
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宮古の市内と違って静かで雰囲気がいいですね。日中、薪を割る作業をして、薪ストーブをつけると冬でも温かいんですよ。雨水を沸かしてお風呂に入ったり、ライスカレーを作って食べたり。とても満足しています。
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宮古での暮らしの満足ポイント・不満ポイントを教えてください。
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宮古の満足ポイントは、宮古の町中で暮らしていても、すぐに田舎のほうに行けますよね。喫茶店の営業もしつつ、山小屋でゆっくりリラックスすることができて、とても充実しています。不満のポイントは、全くないです。みんなは買うものがないとか言いますけど、私はどんどん質素な方、質素な方へとシフトしているので。ちなみに私は携帯も持っていませんが、年に一回海外に行って遊んできていますからね(笑)

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伊藤さんにとって、ふるさととは?
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あちこち海外に行ったりしているけど、結局戻ってくるところがふるさとだと思います。住むところがあるからね。住処ですよ。
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伊藤さんの希望は?
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できれば、100歳くらいまでトライアスロンをちゃんとやれたらいいなと思っています。現在91歳の日本人が最高齢のトライアスリートなので、それを超えられるようにがんばりたいと思っています。
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Uターンを考えているひとたちにメッセージを。
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「宮古に帰っても何もない」と言わずに、自分たちで考えて行動することができれば、充実した生活を送れると思いますよ。自然に触れながら生活できるという魅力がありますしね。




2024年12月取材