
八重樫 瞳子さん
Toko Yaegashi
グラフィックデザイナー
豊かな自然を満喫。たくさんのアクティビティを楽しむ、若きデザイナー
PROFILE
2001年生まれ、滝沢市出身。2020年岩手県立盛岡第三高等学校卒業。2022年、あいち造形デザイン専門学校グラフィックデザイン科企画デザインコース卒業後、盛岡市のデザイン事務所入社。2023年、宮古に移住し花坂印刷工業株式会社入社。現在は宮古市の自然の中で、カッター、シーカヤック、ツリークライミングなどを楽しんでいる。
ふるさととは「好きになれた町」のこと
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最初にお仕事内容を教えてください。
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チラシやウェブサイト、名刺やロゴを作っています。「こういうことがしたいけど、何をすればいいのか分からない」というお客様に、手段の選び方や表現の仕方、どうしたらもっと伝わるかを考えて、形にするお仕事をしています。先日は、浄土ヶ浜でサウナをするイベントがあったんですけど、その宣伝チラシを作ったり、撮影に立ち会ったりしました。イベントを知らない人にどうやったら伝わるかを考えながら。あとは、会社案内や企業ロゴ、選挙ポスターなども制作します。一つのものを作るのに、何度も何度も話し合いを重ねて作るんですよ。
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グラフィックデザイナーという仕事のやりがいは、どんなところにありますか?
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伝えようとしていたことが伝わったんだなと感じる瞬間や、反応がもらえることが、やりがいに繋がっていると思います。やっぱり、見てくれる人がいてくれてこその仕事なのでね。自己満足で作って終わり、という仕事ではないので。

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仕事をしてきて、大変だったことはありますか?
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たくさんありますね。悩むとパソコンの前で手が止まっちゃって。この仕事は、締め切りがありますから、定められた期間の中で成果を出さないといけないんですけど、自分の力不足を感じることが多くて。もっとうまくできるはずなんだけど、全然まだ足りない、勉強しないと、と思いますね。それが大変ですし、逆に楽しさでもあります。
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お話を聞いていてすごく勉強熱心だなと思ったんですけど、そのデザインを学びたいと思う活力はどこから来ていると感じますか?
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自分が表現したいものをただ表現するだけなら、デザイナーにならなくてもいいと思うんですよ。アーティストとして。デザイナーは、伝える使命というか、誰かの良さや商品の良さをとにかく伝えて、伝わった時の嬉しさを共有する。どんどん良くなっていく過程を実感しながらできる仕事なので、そこが活力かなと思います。あと、世の中にはいろんな良いデザインがあって、憧れもありますし、どんどんデザインで生活が楽しく豊かになっていってほしいなという思いもありますね。
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では、これからデザイナーとしての展望や夢を教えてください。
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グラフィックデザイナーと名乗っていますが、まだまだだなって思うことばかりなので、自信を持ってグラフィックデザイナーと名乗れる人間になることが目標です。そして、1年宮古に住んでみて、すでに離れがたくなってしまっているので、デザイナーとして貢献できることがあれば、どんどん宮古の街に関わっていくというのも夢ですね。

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では、仕事以外の時間は、どんなことをしていますか?
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朝の6時頃に漁港に行って、ベテランの方たちと一緒にシーカヤックを漕いだりしています。あとは、今年からツリークライミングも始めました。ロープを引っかけて力だけで木に登るんです。そのイベントがある時は、体験しに行っています。なので、基本的には海か山にいますね。
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シーカヤックやツリークライミングを始めたきっかけを教えてください。
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最初はカッターレースがきっかけでした。宮古に来た当初から、せっかく海の街にいるから何か海に触れることがしたいと思っていたんですよね。それで、カッターレースっていうのがあるんだよって教えてもらい、「こういう海との関わり方もあるんだ!」っていうのを、体験を通して知りました。シーカヤックやツリークライミングは、カッターで出会った人たちから数珠つながりに派生していって、気づいたらいろいろ体験をさせてもらえている、という感じです。
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たくさんのことを楽しんでいるんですね。カッターやツリークライミングの魅力を教えて下さい。
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カッターは、漕ぐときに一瞬空を見る瞬間があるんですよ。全身を使って漕ぐんですけど、寝る姿勢が良いんですね。空が見えると「上手に漕げているんだな」って基準になっていて、海に来ているけど空を見ている瞬間が好きです。ツリークライミングでは、登る前に、木に「よろしくね」って挨拶するんですよ、みんなで。その光景があったかいなって。その瞬間が木に登っている時より好きです。こんな感じで自然と触れ合っています。

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このようにたくさんの体験をすることは、ご自身の性格に合っていると思いますか?
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もともとはアクティブな人間ではないので、合ってはいなかったと思います。でも、宮古に来てから自然にかかわることが増えて。本当は内側にこもりがちな性格だったんですけど、どんどん外に出られるようになったんですよね。性格に合ってはいなかったけど、自然との関わりで心が変わっていきました。今は、自分らしくはないと思いながらも、心の変化を感じるのがすごく嬉しいですね。
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自分が変われる体験は貴重ですよね。趣味が多いことの良さはなんでしょう?
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前まではひとつのことを深く極めなくては、と思っていたんですよ。でも、自分の好きなことが、自分を追い込んでいた、みたいなことがあったんです。今は、ひとつひとつをそんなに極めなくても、楽しいなっていう感情を大事にできればいいんじゃないかと思うようになりました。楽しいと思うことに、思いっきり身をゆだねことができるようになって、そこが趣味をたくさん見つけて良かったところでしょうか。

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やっぱり自分が楽しめることが大事ですよね。では、もし丸一日自由に過ごせるとなったらどんなふうに過ごしますか?
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やっぱり海に1日いたいですね。早朝の漁港に行って、海から朝日を見たいです。太陽が水面に反射して海にチラチラしている光を見て、エンジンのついている船だと行けないような狭いところに入ったり、自然にできた岩のトンネルをくぐってみたり、1日中ずっと冒険をしたいです。
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今後はどんなことに挑戦していきたいですか?
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新しく宮古で演劇をしたいなって考えています。高校生のとき演劇部に入っていて、それ以来やっていなかったんですけど。演劇で表現する、誰かの表現を手伝うのもデザインに生きてくるし、繋がっていくので。
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宮古の暮らしの満足ポイントを教えてください。
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海とか山のアクティビティが多いですよね。海が近くにあって、仕事帰りに行けちゃうくらい、自然が身近にあるところが満足ポイントでしょうか。あとは、人があったかいところです。誰も知り合いがいない状態で来たんですけど、1年間でたくさんの方たちと知り合えました。自分が外に出たからということもありますが、多くの人が私と関わろうとしてくれたからこそだと思います。そうやって、人と人とをつなげようと動いてくれる人がたくさんいるところが良いところですね。

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八重樫さんにとってのふるさととは?
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宮古だと答えちゃいますね。今まで、住んでいた町のことを好きになったことがなくて、良い思い出もないまま来ちゃったんですけど、宮古に来て、初めて自分が住む街を本当に好きになれたんですよ。だから、ふるさとは自分が生まれた町よりも、好きになれた町のことかなって思いますね。
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八重樫さんの希望を教えてください。
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自分が成長できるように、心を磨くために宮古に来たので、自分の成長を希望にしています。私は、希望を外側に求めるより、内側に持っていた方がきっと実感は強いと思っていて。自分はちゃんと成長しているんだっていう実感が、明日、明後日の未来の自分の手がかりや、支えになると思っています。
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最後に宮古に移住を考えている方にメッセージをお願いします。
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宮古はゆったりしているけど、何もないということではなくて、人が手をかけているもの、大切に伝えようとしているものがある。手作り感、人間味がある町で、生活していく中で、きっと本当の豊かさを得られるんじゃないかと思います。
2024年12月取材