北村真一さん

北村 真一さん

Shinichi Kitamura

パティシエ・菓子店経営

写真、バイク、ガンプラ、消防団…宮古のくらしを満喫する、優しきパティシエ

PROFILE

1971年生まれ。岐阜県安八郡神戸町出身。高校卒業後、都内の洋菓子店に就職。新宿高野など数店でパティシエとしての経験を積む。98年、第2子が誕生したのを期に、妻の実家のある宮古市へ移住。(株)日進堂の工場長を経て、(株)しあわせ乳業でレ・ド・シェーブルの立ち上げに携わる。2022年、ケーキとクレープの店、「菓子工房ねこのて」を開業。第3子である次女とともに店を営む。義父母、妻、次女、猫2匹と暮らす。

一人の時間を楽しみ
人とのつながりも大切に

仕事の内容や毎日のルーティンを教えてください。

お菓子の店を経営しています。毎日の起床は4時。猫たちにごはんをあげて、のんびりしたら5時半には出勤します。店に着いたらすぐに仕込みを開始。10時に開店し、ケーキを作りながら接客をします。ランチは毎日おにぎり3個。手の空いた時にささっと食べられるように。店は18時に閉店しますが、片付けや翌日の準備をして20時頃に帰宅します。夕食を食べ、その後はリラックスタイムですね。

仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?

やはり、お客様が喜んでくれることですね。「おいしかったよ」と声をかけてくださったり、ショーケースを見て「かわいい!」と言ってもらえたりすると、こちらも笑顔になります。

これまでに、大変だったと思うことはありますか?

クリスマス前は毎年忙しい時期なのですが、一番大変だったのは、東京の大きな菓子店に勤めていた時ですかね。普段から忙しい職場でしたが、クリスマス前に4日間寝ずにケーキを作ったときは、さすがにしんどかったです。

それは大変でしたね。以前、ニュース番組で拝見したのですが、北村さんは震災のときに、被災した子どもたちへケーキ屋さんならではの支援をしたそうですね。

はい。避難所生活をしている子どもたちに、バースデーケーキをプレゼントしました。こんなことをしたいと企画して、仕入れ業者に寄付を募ったところ、多くの協力を得られたので。半年くらい続けましたね。

子どもたちの笑顔が目に浮かびます。では、これからのお店の展望を教えてください。

今年オープンしたお店ですが、長く地域に密着したお店であり続けられたらと思います。また、若いパティシエ志望者がいたら、自分の元で育成していけたらな、とも考えています。

では、趣味や余暇の過ごし方について教えてください。たくさん趣味をお持ちですよね。

写真撮影、バイク、ガンプラ…、テレビゲームもしますし、パソコンを自作したりもします。1人でやる趣味が多いですが、消防団に所属して、地域の仲間たちとの活動もしていますよ。今はお店を開いたばかりで、趣味に割く時間がなかなか取れないのですが…。

完全に休めるとしたら、どんなふうに過ごしますか?理想の休日を教えてください。

まず、朝早くにカメラを持って浄土ヶ浜に行きます。朝日の昇る海岸の表情を撮影したら、今度はバイクに乗って出かけます。お気に入りは、国道45号北上コース。北山崎や亀ヶ森、沢尻海岸など、景色の良いところを走りたいですね。帰ってきたら、眠くなるまでゲームかガンプラ作りか…。

カメラを持ってバイクで移動したりはしないのですか?

そのふたつは絶対に分けます。以前、やってみたことがあるのですが、どちらも中途半端になって楽しみきれなくて。

写真コンテストの受賞歴もおありですよね。写真撮影を始めたきっかけを教えてください。

フィルムの一眼レフは持っていて、子どもの成長を撮影したりはしていたのですが、本格的に始めたのは震災後ですね。震災から1~2年後でしょうか、星空の写真を撮りたくて、一眼レフのカメラを買いました。当時、宮古市内で写真好きの人たちがFacebookで集まり、盛り上がった時期でして。撮った写真を投稿したり、情報交換したりしていました。

写真撮影の魅力、また宮古でこの趣味をする利点について教えてください。

わたしは、星空を含め主に風景写真を撮りますが、人の目には見えないものを写し込み、残せることが写真撮影の楽しさですね。自分が思い描いていた通りの、あるいはそれ以上の写真が撮れたときには、やはり嬉しいものです。宮古には海も川も山もあって、様々な風景を撮影できるので、写真を趣味にしている人にはうってつけの土地。特に浄土ヶ浜の朝は最高で、行くたびに違った表情を見せてくれます。

お仕事ではケーキを作り、趣味では、写真の現像やガンプラ作り。作ることがお好きなのでしょうか?

ひとりでなにかを作ることは好きですね。職業柄、美しさや見た目を探究するタイプだとも思います。ロボットやメカなど、子どもの頃から好きだったものを、大人になってから満喫している感じでしょうか。人と関わることも好きですが、自分からグイグイ行くタイプではないので。

では次に、消防団活動のお話を聞かせてください。入団したきっかけは?

親戚に誘われたのがきっかけです。もともと興味があって、入りたかったんですよ。移住してきた当初、宮古に友人もいなかったので、人脈も作りたかったですし。

消防団活動のどんなところが魅力ですか?

人のため、地域のために活動をしているということに喜びを感じます。夜警をしていると、消防車に向かって子どもたちが手を振ってくれたりするんですが、そういうコミュニケーションも嬉しいですね。また、違う職業の仲間たちと話すのは面白いですし、バイク趣味の人たちもいるので、いっしょにツーリングに出かけたりするのも楽しいですね。

バイクはいつから乗り始めたんですか?

20歳で中型免許を取得し、21歳で乗り始めました。結婚後に大型免許を取り、大型車といっしょに宮古に移住。次女が生まれた時に一度手放しましたが、震災後に復活しました。2台目以降はYAMAHA-XJRの400cc、1200cc、1300ccと同じシリーズを乗り継いでいます。

バイクのどんなところが魅力ですか?

「乗っている感」が得られることでしょうか。自分で操縦して風を切って走る爽快感がたまりません。暑さ寒さは我慢です(笑)。一人になりたい時や、気分転換したい時に国道45号を北上したりしますが、北山崎とか最高ですね。メンテナンスも好きで楽しめるので、自分の性格に向いているんでしょうね。

日々の生活がとても充実していらっしゃる北村さんですが、宮古でのくらしの満足ポイントはどんなところでしょうか?

気候が良いこと、自然が良いことももちろんですが、人とのつながりが一番でしょうか。何かに携わったり活動したりして誰かと知り合うと、別のところにすぐにつながることができる。小さいまちならではの良さだと思います。都会でのくらしにはない溶け込みやすさは、宮古の魅力ですね。

北村さんにとってのふるさととは?

数ヶ月前、岐阜に帰省したのですが、街並みも変わっていますし、昔ほど「帰ってきたなぁ」と感慨を覚えることはありませんでした。むしろ、宮古に戻ってきたときにホッとしましたから、私にとっては、もう宮古がふるさとになったのでしょうね。

北村さんにとっての「希望」を教えてください。

大きなことを言うと、世界平和になりますかね。争いのない世界になると良いなといつも思っています。そのためにも、身近な場所である宮古も、優しさがあふれる街であってほしいな、というのが希望でしょうか。

最後に、Uターン、Iターンを考えている人たちへのメッセージをお願いします。

リモートで何でもできる世の中になってきましたから、宮古で自然を味わいながら暮らすのも、ひとつの働き方かもしれませんよ。

2022年10月取材

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