中嶋 康文さん
Yasufumi Nakashima
アウトドアブランド主宰
「自分たちが自然の中で遊ぶのに、自然に悪いものを作っていたら意味がない」
PROFILE
1978年生まれ。宮古市出身。宮古高校卒業後、東京の大学に進学。大学卒業後、フリーターをしながら音楽活動を始める。2005年にUターンし、サラリーマンをしながら釣りのプロとして活動を始める。2021年、脱サラし、アウトドアブランド「EFRICA」を立ち上げる。副業として、釣り道具メーカーのテスターとして活躍中。
岩手の良さを発信するアウトドアブランド代表
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お仕事内容とルーティンを教えてください。
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自分が立ち上げたEFRICAというブランドで、アウトドアのアイテムを企画し、作って販売する仕事をしています。EFRICAは、岩手県の良いものを世に発信するブランドなんですよ。毎日のルーティンはなくて、家でパソコン仕事のときもあれば、外に出て営業に行ったり、製品の製造先を探しに行ったりもします。
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仕事のやりがいは何ですか?
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商品の企画、製作、紹介、販売など、仕事内容をすべて自分で決めるのが自分の性格に合っていること、自分が頑張った分だけ見返りがあることです。
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仕事している中で印象に残っていることは何ですか?
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岩手県の伝統工芸品である南部鉄を、アウトドアのアイテムに取り込んで作りたいと思ったときのことです。アイデアを持ち込んだ企業に何軒も断られていた中、食いついてくれた会社の方がいて、その会社といっしょに1年かけて試作を重ね、製品を完成させたことが印象に残っています。あと、うちのオニオコゼの鉄玉が全国放送の番組で紹介されたこともですかね。
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岩手の工芸品や岩手のものを使って作っている商品を教えてください。
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アウトドアスプレーは、サステナブルな商品の代表です。虫の嫌いなハッカやシトロネラ、ひのきが香るスプレーなのですが、エタノールにこだわっています。この製品のために奥州市で育てたお米から抽出したライスエタノールを使用しているのですが、製品を作る際に出たしぼりかすは、牛や鶏の飼料に使います。そしてそのフンは、お米を育てる肥料として使うという循環の中で作っているんですよ。自分たちが自然の中で遊ぶのに、自然環境に悪いものを作っていたら意味ないでしょう?
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今後の展望や夢はなんですか?
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自社のブランド品を通して、岩手県の伝統工芸品や良いものを世に発信することです。そして、一番大きな夢は、地元の津軽石の川に魚を戻すことです。私たちが子どもの頃は、津軽石川は、まるで釣り堀のように魚が釣れたんですよ。それが、護岸工事が進んで魚が少なくなりました。その魚たちを戻すのが人生の目標です。
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仕事以外の時間何をしていますか?
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副業で釣り道具メーカーのテスターをしているので、釣りに行くことが多いです。そのほかにはスマホゲームなんかもしていますよ。
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釣り道具のテスターを始めたきっかけは何ですか?
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昔から釣りが好きで、いろいろな大会に出たりしていました。好きが高じて、マニアックに続けていたら、企業からお声がかかった、という感じですね。
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釣りのどんなところが魅力ですか?
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同じ魚を釣るときでも、天気などの自然を読んで最適な釣り方を考えて釣りをするんですよ。その読みががっちりハマった時が楽しいです。
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その趣味を宮古でする利点はありますか?
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宮古には海も山も川もあるので、どこに行っても釣りができるところですね。また、秋田や青森など、東北各地に行ったりするので、拠点としても最高です。
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一番釣れてうれしかった魚は何ですか?
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幻の魚と言われる、イトウです。北海道の猿払というところで釣りました。
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宮古での暮らしの満足ポイント・不満ポイントを教えてください。
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満足ポイントは、釣りやキャンプができる自然があること。不満ポイントは、津軽石川など、自分が小さな頃にあった自然環境が変わってしまったことです。
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中嶋さんにとって、ふるさととは?
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「子どもを育てたいところ」だと思います。
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中嶋さんの希望は?
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津軽石川もそうですし、宮古の環境を戻したいということと、世界平和です。
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Uターンを考えているひとたちにメッセージを。
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その人の置かれている状況にもよるとは思いますが、宮古が嫌で出ていった人に対しては、意外と宮古も悪くないよっていうことを伝えたいですね。
2022年9月取材