鈴木 良太さん
Ryota Suzuki
会社経営
みんなの「おいしい」を求めて、日々勉強を続ける宮古の王子
PROFILE
1981年宮古市生まれ。宮古工業高校卒業。2005年共和水産株式会社に入社。2011年代表取締役専務に就任。「イカ王子」と名乗り活動開始。2018年、宮古の真鱈をPRする「冬の産直&真鱈まつり」を立ち上げる。2019年、「王子のぜいたく至福のタラフライ」がアメトーーク!揚げ物大好き芸人で、サンドウィッチマン伊達さんに推薦される。2022年には、笑ってコラえて!でハンカチ王子と共演。全国での認知が広まる。10月にはYouTubeチャンネルを開始。
「何かを変えたい」から始めたイカ王子の活動
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仕事内容と一日のルーティーンを教えてください。
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漁師さんが水揚げした魚を食べやすく加工し、冷凍して消費者へつないでいます。毎朝5時に起床。6時前に一度会社へ行き現場の準備などをします。8時からはYouTubeの撮影や水産加工会社としての営業、商品開発などの通常業務。20時頃に帰宅します。何もなければ21時には寝たいですね。
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仕事をしていてやりがいを感じるのはどんな時ですか。
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自分は食べ物を表現しているプレーヤーなので、「おいしい」と言ってもらえた時や、純粋に値段をつけて買ってもらえることにすごくやりがいを感じています。
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なぜ、イカ王子になろうと思ったのですか。
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自分が代表になった年に震災が起きたので、まずは1億3000万円の借金をなくすことから仕事がスタート。そこで何かを変えたくて。当時は自分も弱くて、会議でぜんぜん意見を言わなかったし、そういうところを避けて、自分一人だけで頑張ってたところもあるから、全部ひっくるめて変えたくてイカ王子になりました。
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仕事をしていて良かったことはなんですか。
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「イカ王子」と言ったら、宮古のほとんどの人が知っていることです。これは従業員やほかの企業の方々、フォロワーさん、皆のおかげだなと思います。普段から街中で「王子だ!」って呼ばれるのは嫌ですけど、まちにそういう人がいるからこそ、宮古を紹介する番組が盛り上がったりします。食べ物も食べることだけではなく「なんかおもしろそう」とか「かっこいい」とか、思ってもらえるなら、イカ王子っていた方がいいなと思います。
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では、今後の展望を教えてください。
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素朴な食べ物で町おこしをしたいと思っています。今、たった一個の魚のフライで、こんなに町が熱を帯びているのってすごいでしょう?自分はこれが地域だと思っています。今まではそういうものに目をつけてこなくて、手間をかけてこなかったけど、自分はそれをやりたい。何かをやる人たちって、新しいものを作ろうとするけど、自分は逃げないで、真正面からぶつかっていきたい。「イカ王子って商品から逃げないよね。」って。そういう思いが伝わればいいなと思っています。
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趣味や余暇の過ごし方を教えてください
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休みが基本的にあまりないのですが、あるとしたら寝転がってYouTubeを見ます。最近は、ラーメン屋の厨房の裏側や、お好み焼きとか焼きそばの名店屋台の動画を見ています。効率的でオペレーションが成り立っているものや、ワンオペでやっている店の動画がめちゃくちゃ大好きで。
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YouTubeでほかにどんな動画を見ますか。
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選挙の2週間くらい前からは、選挙の演説を見ています。間違いなく宮古で一番見ている自信があります。なぜ見ているかってプレゼンに役立つから。出ることはないけど、選挙に出たら一番プレゼンするし、たぶん市長になれます(笑)。なぜ話の勉強をしてるかっていうと、商品を売りたいから。商品を手に取ってほしいからなんです。伝え方がおもしろくなかったら、絶対に売れないですからね。
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一日または一週間自由に過ごせるときの「理想の休日」を教えてください。
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1日だったら、5時から浜辺でランニングをしてシャワーを浴びます。そのあと、コーヒーを飲んで、どっかのライブかミュージカルを見に行って、夜においしいものを食べて21時には寝ますね。
1週間あったらラーメンとかの仕込みをする。1週間あったらたぶん販売もできるから、最終の二日間くらいで売ります。それか、最高にうまい定食を出して売る。旅行とかより、そういうことをやってみたいと思っています。
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宮古での暮らしの満足ポイント・不満ポイントを教えてください。
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自然が多いところが満足ポイントですかね。遅くまでやっているお店やカフェ、ジムなどがないことや狭いまちだから話がすぐに回ってしまうところが不満ポイントです。エゴサーチする前に、人づてに話を聞くことが多いから、それはすごく嫌だなって思います(笑)。
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鈴木さんにとって、ふるさととは?
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やりたいと思ったらやれる、やるためにこういう人を知っている、など、コネクションがあるところですかね。東京にいたら分からないと思います。あとは、思ったことがすぐに実現しやすい、失敗してもすぐに次がある。これがふるさとの良さだと思います。
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鈴木さんの希望を教えてください。
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従業員や周りの応援してくれている方々、イカ王子の作る食べ物のファンの方々が、自分にとっての希望です。それが自分を前進させてくれると思っています。
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宮古市は好きですか?
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今は大好きです。震災前までは宮古が嫌いで仙台に行ったのですが、後継ぎがいなくて、いやいや戻ってきたんですよ。でも、新しいコミュニティに飛び込んだ時に、熱くておもしろい人たちに出会ったので、そこから宮古が好きになりました。誰と出会うかってめちゃくちゃ大事ですよ。
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Uターンを考えているひとたちにメッセージをお願いします。
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別な土地で色々な経験をすると思うし、成功よりも失敗のほうが多いと思います。もし、そのコミュニティが自分に合わないなとか、なんかこの職業違うなと思ったらいつでも宮古に帰ってきていい。それは決してダサいことではない。本人は失敗だと思っていても、地元の企業はそれを経験だと評価することもあります。都会に行って揉まれて失敗した経験は、すごく大事だと思っています。
2022年9月取材