
澤口文哉さん
Fumiya Sawaguchi
釣り船船頭
多彩な趣味を持つ剣道家は、多くの釣り人に愛される20代船頭
PROFILE
1997年生まれ。宮古市出身。宮古高校を卒業後、家業である「釣り船ゆたか丸」の船頭になる。日本初の20代船頭として、多くの釣り好きから信頼を集める。父・母・姉・弟の5人家族。趣味は釣りのほか、料理、お菓子作り、剣道など多岐にわたる。
「海=生きがいの場所」宮古の海の魅力を広めたい
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お仕事の内容を教えてください。
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釣り船の船頭をしています。釣り船にお客さんを乗せて、釣りをしてもらうことが仕事です。予約がある限り、毎日仕事です。年末には釣り納め、正月には釣り始めがあるので、とにかく休みはないですね。天候が荒れて波が高い日だけは、船が出せずに休みになるんですが、それ以外の日は、基本的に海の上にいます。
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1日のルーティンを教えてください。
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季節によりますが、朝4時ぐらいに起きて、出船の1時間前ぐらいから船の準備を始めます。5時~6時に出船して、11時とか12時に帰ってきます。午後の予約があれば、13時から17時ぐらいまで仕事。さらに夜の予約が入っていたら、17時半から24時ぐらいまでまた海の上ですね。家に帰ってくるのが24時半過ぎで、風呂に入って寝て、起きるのがまた4時というのを繰り返します。時期によっては、午前中に終わったりもしますがね。

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このような生活には慣れるものですか?
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慣れます、慣れます。家業なので、小さいときから早起きはしていましたしね。さすがに朝昼晩の予約が何日も続くと疲れますけどね。
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この仕事のやりがいは何ですか。
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まず、釣りが自分の趣味でもあって、仕事でもあります。いろんな職業のお客さんが来てくれるので、お客さんと話をするのは楽しいですね。あとは「この船が1番釣れるよね」っていう言葉をもらえると嬉しくなります。そうやって、常連のお客さんができて、仲良くなったりするのもやりがいのひとつです。
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大変だったことや、つらくて辞めたいなと思ったことはありますか。
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ないですね。仕事で大変だと思ったことはないです。違う意味で大変なことは、例えば津波注意報が出たときに、船を逃がさなきゃいけなくなることでしょうか。たった数センチでも、波がぐわーって引いていくので。あとは、雪が降ったときは、船の雪かきをしなきゃいけないんです。雪が積もると、その重みで船は沈んでしまうんですよ、小さい船は特に。雨だと大丈夫なんですがね。
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このお仕事での今後の展望や夢を教えてください。
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東北・関東までは「ゆたか丸」のことは知れ渡るようになりました。今後はそこから先、関西方面の人たちにも来てもらえるようになりたいですね。タラとかマスとかイカとか、東北でしか釣れない魚がありますから、宮古に来て楽しんでほしいです。海域的に、親潮と黒潮がぶつかっているところだから、岩手の魚は本当に美味しいんですよ。それをもっと広めていって、遠くからお客さんが来てくれたら嬉しいです。釣りが趣味の人たちだけでなく、若い初心者向けのツアーもやってみたいですね。

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お仕事以外の時間は何をして過ごしていますか。
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家でお菓子を作ったり、料理をしたり、筋トレをしたり、剣道をしたりしていますね。剣道は、県民大会に出たりすることもあるし、スポーツ少年団の子どもたちに教えたりもしています。冬の暇な時期は、スノボ行ったり旅行に行ったりします。
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多趣味なんですね!まず料理についてお伺いしますが、得意料理はありますか?
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やっぱり魚を使った料理ですかね。ひまな時はピザとかパンを作ったりもします。お菓子だとケーキやシュークリームが得意です。
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料理やお菓子作りが好きになったのはいつごろからですか?
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小学校2、3年生の頃からです。父が元コックなので教えてもらったり、お菓子作りに関しては母や祖母に教えてもらったりしていました。今では自分の方がうまくなったと思っています(笑)





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剣道はいつからやっているんですか?
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幼稚園の頃からやっているので、もう20年ちょっとになりますね。習い事をしなさいと言われ、柔道か剣道の二択で剣道を選びました。柔道を見に行ったら、締め技がきつそうだったから、棒を持ってやる方がいいでしょ、と思って(笑)
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料理と剣道それぞれの魅力はありますか?
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料理の魅力…難しいな(笑)お店で美味しいものを食べた後で、それを自分で再現できたときとかは楽しいですね。あとはやっぱり、自分が作ったものを食べてもらって、喜んでもらえるところが魅力だと思います。
剣道は、やればやるだけ楽しくなります。子どもには基礎、基本をしっかりやることを教えているんですが、それを通して自分も成長するんですね。それから、剣道のおかげで身についたのは礼儀です。挨拶とか敬語とか、社会に出てから役に立ちました。
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今後、趣味でチャレンジしたいことはありますか?
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宮古で居酒屋を開いてみたいなと思います。船着き場の前に小屋を建てて、釣ってきた魚をそのまま提供する「釣り居酒屋」みたいな。2階で泊まれるようにしたら、次の日朝から船に乗って釣りに行くこともできますよね。そういうのは全国にもないし、やったもん勝ちかなって。

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宮古での暮らしの満足ポイント・不満ポイントを教えてください
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満足ポイントは、雪があまり降らないことでしょうか。あとは人が多すぎないので、住みやすいと思っています。そして、魚介類が美味しいこと。ホタテ、カキなどの貝類と、魚だったらヒラメ、タラ、マスが特に美味しいと思います。釣って楽しい、食べて美味しい魚たちです。
不満ポイントは、内陸からちょっと遠いことと、観光地が少ないことですかね。お客さんに「どこ行ったらいい?」って言われたら、浄土ヶ浜を紹介するんですけど、そのほかの場所が少ないように感じます。魹ヶ﨑灯台まで2時間歩くのは、なかなかハードルが高いですし。でもそれ以外に不満はないです。
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澤口さんにとって、海とは?
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海は生きがいの場所です。そういう仕事をしているので。海は内陸の人たちは普段見ることができない、沿岸限定のものです。宮古は宮古の海だし、山田は山田の海だし、その地域によって海の魅力がありますよね。
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澤口さんにとっての希望とは?
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魚たちが居続けてくれることが希望でしょうか。いなかったら仕事にならないので。温暖化とかで、宮古の魚、例えばタラなども減ってきています。タラを釣りに来ているお客さんもいるので、宮古に定着している魚たちが居続けることが希望ですね。
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Uターンを考えているひとたちにメッセージをお願いします。
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空気が美味しいよと伝えたいです。結局、地元が楽しいんだからって言い続けていたら、友だちが何人かUターンしてきましたよ(笑)
2024年2月取材